4.星野ゲルソン食事療法とケトン体食事法の融合は可能か。    

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     最初にお伝えしたいことは、私はゲルソン・星野式食事療法を否定的には捉えている訳ではありません。実際、ゲルソン・星野式食事療法を最初の3か月、その後済陽式食事法を1年間、修行僧の如くただひたすらその食事制限を守り続け腫瘍マーカーをほぼゼロにしたことだけはご承知おき下さい。

 

  そして、今も、塩抜き、砂糖抜き、動物性油脂、ω6系植物油を極力避けること、乳製品は一切摂らないこと、大量の野菜、豆腐、卵、鶏の胸肉・ささみ、魚、海藻、を中心の食事をしており、ただ異なる点は、糖質を1日3040gに制限していることと、MCTオイル、亜麻仁油、オリーブ油等で11001300 kcal摂り、油脂で摂取カロリーの6070%を摂っていることです。

 

その結果腫瘍マーカーがほぼゼロに安定したことを確認し、現在の本格的なケトン体食事法によりがん細胞を極小に封じ込め、そこにCOX2阻害剤による治療と超高濃度ビタミンC点滴法でがん細胞を死滅させ得るかどうかの私としては最後の実験段階に来ています。確認は35年後を考えています。

80歳までには結果を出したい。自分のいのち()との競争です。

 

  2年前まで、私を一番悩ませたのは、1日1ℓ~3ℓの大量のニンジンジュースの魅力とその糖分の多さのバランスをどのように自分として納得するか、納得できるかという点、そして1日13回とまではいかなくても1日3回のニンジンジュースを作り続ける時間と労力が3年目で限界に達して、仕事にも影響し始め、収入の減少、ストレスの増加に直面し始めたことでした。それに加えニンジンジュースの飲む量が500cc以上になると、その甘さに気分が悪くなり、吐き気と食欲の減退も顕著になってきました。

  人には向き不向きが、体質的にも、環境的にも当然あることに気が付き、自分なりに納得できる、持続可能な方法が他にあるかもしれないというのが、糖質制限食を取り入れた発端です。

 そして、がんとブドウ糖との関係です。がん細胞は正常細胞の10数倍のブドウ糖を必要としています。

 

 逆に、私と同じような糖質制限食が油脂をたくさん摂れないためにできない方も結構いると思います。よくあるのは、カロリー不足によるフラフラ感でしょう。動物性たんぱく質をたくさん摂れない方もいると思います。

 

ゲルソン療法には実績もあり、その専門的経験から導き出された栄養学根拠があるからこそ崖っぷちから全世界では何万人もの生還者がいるのでしょう。

 先に述べたように、人には肉体的、精神的、環境的にできることできない事、向いていること、向いていないことがそれぞれあると思いますので、自分に合った持続可能な療法を探る必要があり、またいくつかの手法を組み合わせていくことも大切だと思います。

 

  私が今でもゲルソン療法から学んで大切にしているものの一つは大量の野菜ジュースを摂り、体を弱アルカリに保つこと、カリウムを多めに摂って細胞のカリウムの減少を食い止め、さらに正常細胞のNa/Kの正常比にっいくことをできるだけ実行することです。

 

 このことは、がん患者のビタミンCの血中濃度が健常人の半分以下で、がんが大きくなればほぼゼロになり、さらに進行すれば体の重要臓器の細胞にもビタミンCはゼロ近くになることと同根ですね。

 

ゲルソン療法では高カリウム低ナトリウム大量の野菜および野菜ジュースとにんじんジュースを一日中摂ることによってがん患者は細胞の代謝を上げ、がん細胞の出す大量の乳酸による酸性化した体を弱アルカリに戻しています。

 

前立腺がんをゲルソン療法で克服した渡邊勇四郎医師はにんじんジュースのカロテンが効いたのか、にんじんジュースの大量のカリウムによるものなのかの答えを、著書の中で述べています。先生は尿中のK/Na比を計り、その値が11.55になるとがんは消えてしまうと云っています。私の値は一桁なので、がんは全然消えていないということですね。1日に12リットルのにんじんジュース・野菜ジュースを一日中取らなければこれだけのカリウムで全細胞を満ち満ちにできないのでしょうね。

 

血中のカリウム濃度は正常範囲内に自動的に保たれるわけですから、細胞内のカリウムが正常な量に満ち満ちていれば、ビタミンCと同じように尿中にカリウムがあふれ出てきて、K/Na比が11.55以上になってくると考えていいのではないかと私は考えています。ですから、私の場合カリウムの摂取量が圧倒的に足りないわけです。または尿中ナトリウムが多すぎるのでしょう。いろいろ考えられます。また、高カリウム血症の心配もしなければならない人もいますね。(腎臓機能の悪い方等)

 

 そして、2015年の初夏に亡くなった Oさんはこの11.55の値をずっとクリアしていたにも関わらず前立腺がんはさらに悪化して悔しいことに亡くなり、真の原因は分りませんが、例外は必ずありますので、必ず複数の手法を同時並行的にするべきだと思っています。 

 

    MCTオイル、ココナツオイル、亜麻仁油、エゴマ油、オリーブ油等で10001300Kcal摂ることが可能で、卵、鶏のムネ肉、ささみ、たくさんの種類の魚類や海藻類を摂ることができる人であれば星野・ゲルソン療法または済陽式にケトン体食事法を取り入れることはできると思いますが、私としては、何が起きるかわからない手探りの状態なので、積極的に人にすすめることには躊躇しています。

 

    ですから、ゲルソン療法をされている方には、しっかりと原点を見つめて、なぜ多量のにんじんジュースを1日中たゆまず飲みづけなければならないのか、なぜ多量の野菜を食し、野菜ジュースを取り続けなければならないのか、がん細胞の増殖からどのような仕組みでどういう生体反応でがんを抑え込めているのか、自分の命を守るための理論武装をしっかりしておくことをお勧めします。

   それがしっかりあれば、自身でできるかできないかを検討せずに糖質制限食に首を突っ込んでカロリー不足でフラフラになることはないと思います。

 

 そして、ゲルソン療法では糖分を主体として、20003000Kcalものカロリーを摂り入れているわけですから、それなりのがんの栄養分であるブドウ糖も大量に体内に入っているのですから、余計なお菓子とかせんべいとかの食べ過ぎに注意するとか、おいしいからと言ってジャガイモや果物をたくさん食べたり、がん細胞の増殖を促すようなインスリンスパイクを起こす食べ方を避けるとかいろいろ注意があると思います。特にドライフルーツは女の人には魅力がありますけれど、頻繁に食するのはどうでしょうか。