401. 糖質制限への道(その1)

中鎖脂肪ケトン食について  2013.5.24 

 

ランチの会の皆様 H.Y様 いつも適切な情報ありがとうございます。今回もいろいろ教えてもらうことが多くて元気がでます。4月1日のAさんへのメールに私の言ったことがすでに述べられていたので重複してしまいましたね、Aさん、同じ事をいってすいませんでした。

 オートミールは消化も良く,タンパク質、脂肪も適度にありビタミン・ミネラルも豊富ですのでバナナの代わりにどうしても力が入らない時に食したらどうでしょうか。

 ゲルソン食の中で,ニンジン・野菜ジュース、ヒポクラテススープと並んで中心的なメニューなのはご存知のとおりです。

 

「中鎖脂肪ケトン食」についてですが、H.Yさんが資料を集めて検証する準備をしているとのことですので、詳しくはその結果を楽しみに待つことにして、今日は本の紹介とします。内容の要約はH.Yさんのメールにある通りですが多少補足します。

1、著者  元国立がんセンター予防研究室長、現銀座東京クリニック院長 福田一典医師

 2、ケトン食の歴史と現在

 1920年代 てんかんの治療のための療法としてアメリカではじまる。その有効性が証明され、広まったが、薬物治療の発展でしぼんだ。

 1990年代にその有用性が見直されてんかん治療ばかりではなく、アルツハイマー、パーキンソン病などの進行抑制にも利用が広まる。

 1995年米国でがん治療に応用が始まり、広まりつつある。ただし、長期間の治療については今後に研究課題が残っている。

 

 3、ケトンとは : 飢餓の時とか、断食をした時、枯渇したエネルギーの基になるブドウ糖のかわりに、体内に蓄積してあった脂肪を肝臓でケトン体に変換し脳、心臓、筋肉などにエネルギー源として供給される。

 

 4、中鎖脂肪とは : 炭素数が8から12の脂肪酸で分子が小さいため効率的に吸収され肝細胞のミトコンドリアに直接入って分解され、エネルギーとして燃焼されやすく、体脂肪として蓄積されにくい。具体的にはココナッツオイルや精製された中鎖脂肪酸が市販されています。   これに対して長鎖脂肪は亜麻仁油、エゴマ油、オリーブ油、DHAEPAいい、これらが肝脂肪のミトコンドリアに取り込まれるためには、カルニチンが必要なので、サプリメントでLーカルニチンを摂ることを勧めています。特に夕食に中鎖脂肪を多く摂取し、抗ガン作用のある長鎖脂肪酸をLーカルニチンのサプリメントと一緒に摂取することを推奨されています。

 夕食を重視するのは、睡眠中にがんの増殖が盛んになるためです。

 

 5、ケトン食とは

 現代栄養学では、摂取カロリーを炭水化物から60から65%、脂肪から20から25 %、タンパク質が10から20%となっているが、ケトン食では摂取エネルギーの60から90%を脂肪から摂取、糖質は40g以下(160キロカロリー以下)にして、ガンのえさであるブドウ糖を絶ち、短期決戦で、癌細胞をすべて死滅させる。

 従来脂肪の摂り過ぎががんのリスクを高めると考えられていますが、これは、糖質の摂取量が多い、あるいは総摂取カロリーが高い場合に、脂肪が体内に蓄積しすぎるが、糖質が少ない場合には脂肪は積極的に燃焼されて残らない。

 高脂肪+低糖質あるいは高たんぱく+低糖質ではがんの発生は高まらない。つまり、がんの発生、増殖する原因は糖質であり、糖質を減らせばガンの発生と促進はない。

 

 例として、昔のエスキモー(イヌイット)生肉が主食で氷の世界のため野菜無しの1万年の

活続いたが、その間がんの発生は極めて少なかったとの疫学研究で明らかになっている。

 また、700万年の人類の歴史の中で農耕の歴史は精々1万5千年くらいで99.8%の期間は採集狩猟漁労の生活であり、糖質の摂取量は高々20%以下といわれている。我々現生人類(ホモサピエンス)だけでも最新研究では30万年の歴史があると言われている。

 

 6、注意事項

 

  対象とする患者さんは標準治療で効果がなくなった進行がんや、再発リスクの高いがんの治療後の患者さん。

 

  重度の糖尿病、肝障害、腎臓障害の患者さんには推奨できない。

 

  この療法は糖質を制限する代わりに脂肪を多く摂取する食事なので胃腸障害が生じる可能性があるので、この治療法を充分理解している医師の指導のもとに行うこと。

 

 以上ですが、H.Yさんのメールの要点と合わせてお読みください。また、私の勘違いがありましたら、遠慮なく指摘してください。約190ページの本のすべてはここに書ききれませんので、興味のある方はインターネットで本の内容が出ていますので、照会してみてください。

 

 

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